諸手続きと、それに伴う費用は事前に全て正しく把握すべき
住宅購入の手続きは煩雑です。注文住宅については特に煩雑で、さらに古家付き土地の解体からとなると、さらに手続きは増えます。
また、住宅購入の経験は、人生に1度あるかないかであり、初めて聞く言葉ばかりが登場します。
不動産屋さんや、工務店さんに言われるがままに手続きを進めていけば基本的に問題ないですが、自分で理解していないと、不安がつきまといます。
また、各業者さんも完璧ではないです。当然、抜け漏れが発生することもあると思います。なので、自分たちで必要な手続きとその進行状況をしっかりと把握しておく必要があります。
この記事では、登記関連の全体像をお示しします。じっくり読めば難しい話ではなく、おそらく5分~10分あれば理解頂けると思います。
それでは見ていきましょう。
必要な手続き(登記)と費用について
私は、古家付きの土地を購入し、解体してから新築する、というフローを経ました。その際に必要だった手続きについて記載します。
更地購入の場合や、所有地の建物を解体する場合、あるいは相続の場合など、私と異なるケースの場合は、必要な手続きや費用が異なる場合がありますので、ご留意ください。
また、前提として、私は住信SBIネット銀行で住宅ローンを借り入れました。銀行によって手続きフローは少し異なるので、その点は各銀行にご確認ください。
必要な手続き一覧
古家付き土地購入→解体→新築の場合に必要だった登記関連の手続きを記載します。
- 古家付き土地の決済時:所有権移転登記、(1回目)融資抵当権設定
- 解体後:既存建物滅失登記
- 完成・引き渡し時:建物表題登記、建物保存登記、(2回目)融資抵当権設定
ここからは、それぞれの手続きについて、内容・費用目安・依頼方法について記載していきます。
所有権移転登記
所有権移転登記とは?
古家付の土地を購入し、新築住宅を建てる際の不可欠な手続きが、所有権移転登記です。この登記手続きでは、土地と建物の所有者を変更し、新しい所有者としてのあなたの名前が正式に記録されます。
古家付きなので、建物の所有権も一度移す必要があります。
所有権移転登記の依頼先
所有権移転登記手続きは司法書士に依頼することで、効率的かつ正確に進めることができますプロのサポートを利用することでトラブルを最小限に抑えることが期待できます。
住信SBIネット銀行では、下記の抵当権設定のための司法書士が指定になります。移転登記の司法書士もまとめて同じ方に依頼することで、司法書士への手数料を安く抑えることができます。
所有権移転登記の費用
大きく、登録免許税と、司法書士報酬、他実費があります。
<登記免許税>
固定資産税評価額×税率で算出されます。売買の場合の税率は以下です。
・土地の税率が2%(ただし、令和8年3月31日までは1.5%)
・建物の税率が2%
※建物は、取得後に居住せず、解体を目的としている場合の計算になります。中古物件の購入後に居住する場合は、軽減税率適用となり、0.3%になるようです
<司法書士報酬>
誰に依頼するかによって差はありますが、相場としては5万円程度とお考え下さい。
<他実費>
印紙代や、役所からの書類取り寄せ費用等で、1-2万円程度とお考え下さい。
融資抵当権設定(1回目、2回目)
融資抵当権設定とは?
融資抵当権設定は、金融機関が不動産に対して融資を行う際に、その融資を担保として設定する権利のことです。もし借り手が融資の債務不履行などで返済義務を果たさない場合、金融機関は不動産を差し押さえて債務を回収する権利を持つようになります。
私の場合、住信SBIネット銀行の「土地先行プラン」を利用したため、抵当権設定が2回ありました。
1回目は、古家付きの土地の決済時です。決済に必要な借入額に対して、土地と古家に対して抵当権が設定されました。
2回目は、建物完成後の引き渡し時です。建物引き渡しに必要な借入額に対して、土地と新築建物に対して抵当権が設定されました。
融資抵当権設定の依頼先
司法書士に依頼する形になります。銀行から指定されることが多いでしょう。上述しましたが、所有権移転登記の司法書士も、同じ方にまとめると良いです。
融資抵当権設定の費用
登録免許税と司法書士報酬があります。
<登録免許税>
借入額の0.4%がかかります。5千万円の借り入れの場合は、20万円になります。
<司法書士報酬>
相場としては5-10万円程度です。
既存建物滅失登記
既存建物滅失登記とは?
既存建物滅失登記は、建物が滅失(取り壊しや廃棄)された場合に、その事実を不動産登記に正確に反映させる手続きです。古家付きの物件を取得し、解体して新築する場合は、必要になる手続きです。
既存建物滅失登記の依頼先
こちらもここまでの手続き異なり、土地家屋調査士への依頼となります。
私はプロに依頼をしましたが、この手続きは個人でも他の手続きと比較すると簡単にできそうです。
とはいえ、まさに解体時はプランを検討している真っ只中だと思うので、煩雑な作業に追われないよう、プロに依頼する方が良いと思います。
既存建物滅失登記の費用
登録免許税はかかりません。
土地家屋調査士に依頼する場合は、相場は5万円程度です。
建物表題登記
建物表題登記とは?
建物表題登記は、不動産の所有権に関する法的な手続きの一環で、建物の所有者や権利関係を正確に不動産登記に登録することです。
これにより、不動産の法的な明確さが確保され、所有者や権利者が正確に記載された登記簿が作成されます。建物が新築された場合や所有権が変わった場合に行います。
建物表題登記の依頼先
依頼先は土地家屋調査士になります。工務店やハウスメーカーの指定、となるケースが多そうです。
建物表題登記の費用
登録免許税はかかりません。
土地家屋調査士に依頼する場合は、相場は8-10万円程度です。
保存登記
保存登記とは?
「保存登記」は所有者を登記することを指します。建物の所有者は誰で、いつ、どういった経緯(売買・相続)で所有権を取得したかを記載します。
保存登記の依頼先
こちらは司法書士への依頼となります。工務店やハウスメーカーの指定、となるケースが多そうです。
保存登記の費用
<登録免許税>
固定資産税評価額×税率0.15%となります。
※建物に居住することが前提の、軽減税率となります
※軽減税率の適用は令和6年3月31日まで。それ以降は0.4%になる見通しです
※ZEH住宅が長期優良住宅と低炭素住宅に認定されている場合は0.1%になるようです
新築の場合、評価額算定前なので、各都道府県で年度ごとに決められた「基準」に沿って不動産の価額を算出します。算出においては、「不動産の種類・構造の平米単価」と「延べ床面積」を考慮します。
<司法書士報酬>
相場としては3-5万円のようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産関連は、ややこしい手続きはたくさんありますが、1つ1つの意味を理解すると、不安が解消しますので、何度か読み返して頂けると幸いです。
- 土地取引時、解体時、引き渡し時の大きく3フェーズで手続きが発生
- 各手続きにおいて、依頼先は大きく2種類(司法書士と土地家屋調査士)
- 依頼先は銀行や工務店指定となるケースもある
- かかる費用は、登録免許税と、手続き依頼先への報酬の大きく2つ
- 登録免許税は、抵当権は借入額に依存し、その他は固定資産税評価額に依存
- できる限り、同じ司法書士にまとめると報酬費用を抑えやすい
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